episode-1



1.にゃん太郎との出会い


あれは2000年の夏の日の事です。隣の家のフェンス付近にネコがいたので、
「おいで」と呼んでみました。でも、そのネコはこちらに来たそうではある
のに、目の前のフェンスに上がろうかどうしようかと迷っている風でした。
「ネコなのになんで上がれないんだろう」と不思議に思ったものです。


     しばらくすると、少し遠回りして横の塀の方からやって来ました。近くでよ
く見たら、だいぶ大きくなってはいましたが、まだまだあどけなさを残した
ネコちゃんだったのです。これが、「にゃん太郎」との初めての出会いでした。


数日後、主人の仕事が休みの日に、またそのネコちゃんを見かけました。
主人も動物が好きですので、急いで「この間のネコちゃんが来ているよ」と
伝えたところ、主人はそのネコちゃんを見るなり、家からいりこを持って出
て来たのでした。


そして、早速いりこをあげてみると、ネコちゃんは初め何か「ウニャウニャ」
言ってる様に聞こえました。後で考えれば、多分「うまいニャ〜」などと言っ
ていたのではないでしょうか。(^。^)


家族となるまでの間 1


   それからというものの、そのネコちゃんが来る度に、いりこなどのえさを少し
ずつあげていたのですが、気がついてみれば、自然の成り行きで我が家に居つ
くようになっていました。その頃から、少しずつ家族になってもらいたいなぁ
と考え始めたのです。


でも、多くの不安がありました。何と言っても、私は「金魚、亀」以外の動物
を飼ったことがなかったのでした。主人の方は、「犬、鳥」を飼ってた事があ
るとは言っていたものの、お互い「ネコ」は初めてだったのです。「育ててい
  けるかなぁ」と言う不安と「大丈夫かなぁ」という気持ちがありました。


しかし、日がたつにつれ情は移って行くばかりです。ある日、取りあえず「名
   前を付けようじゃないか」という話になり、その時に、私が「パッ」と思いつ
いたのが「にゃん太郎」という名前だったのです。


決めてしまった後に気づいたのですが、実は何と、「にゃん太郎は女の子」。
「やっぱり考え直そうかな」と思った時には既に遅く、「にゃん太郎」は、自分
   の名前を覚えてしまっていました。そういう訳で結局改名は出来ず、こうして
   女の子らしからぬ名前となってしまったのでした。


家族となるまでの間 2


1度試しに、「にゃん太郎」を家に入れてみた事があります。「悪い事をす
    るかなぁ」と思っていましたが、「にゃん太郎」は恐る恐る家を探索して、
最終的にソファーに行き着きました。そして、ここが安全な所だと確認した
のでしょう。


何と、\(◎o◎)/!すやすや眠り始めたのです。しかも、大切なおなかを
    見せて無防備に。ネコがあんなに無防備な寝方をすると思っていなかったの
で、2人でとても驚きました。(アルバム 1でご紹介した写真ようになりま
した。)きっと外では、あんな寝方などできなかったのでしょう。まさに、
全身リラックスという感じでした。あまりにもかわいかったので、横にぬい
ぐるみを置いて写真を撮ったりもしましたが、全く気にせず熟睡でした。


家族となるまでの間 3


お散歩もよく行ったものです。「にゃん太郎」は リードなしでもお散歩が
出来ます。道端の草のにおいをかいでは、私達の姿が少し離れると小走りに
付いて来たり、名前を呼ぶと返事をしたりしていました。但し、車がとても
嫌いで、車を見かけると近くの草むらの中に入ってしまい、連れ戻すのが大
変でした。また、パニックになって危ないので、今では、リードを付けてお
散歩をしています。



家族となるまでの間 4


ある時、いつも通り玄関先で、座って「にゃん太郎」にえさをあげていたら、
   私の膝に手を伸ばして来ました。「何をするのだろうと」思っていたら、膝
に上がってきてちょこんと座ってしまったのです。「エッ?」驚きました。
人間の膝が温かくて快適な事を知っていたのでしょうか。実は、爪が少し出
ていて痛かったのですが、しばらくはそのままで居てあげました。



家族となるまでの間 5


にゃん太郎は、いつも「ゴロゴロ」言っていたので、当初、私は「ぜんそく
ではないだろうか?」と心配していました。主人に「ネコにも、ぜんそくっ
てあるの?」とばかな事を聞いたりもしたものです。でも、後でわかりまし
たが、「にゃん太郎」は、極度な甘えん坊さんだった様です。



家族となるまでの間 6


   ネコは、快適なところを見つける天才です。秋も終わりの頃です。「にゃん
    太郎」は、主人の車の「ボンネット」でお昼寝をしていました。「ボンネッ
    ト」が暖かくなっていて気持ちが良かったのでしょう。主人は、それを見つ
    けて「にゃん太郎、そこで寝てはダメだよ」と言ったらしいのです。すると


    後日「にゃん太郎」を見かけた時には、何と\(◎o◎)/!「トランク」の
    上でお昼寝をしていたそうです。(笑)「ボンネット」がダメなら今度は
    「トランク」に。まるでコントのようですが、主人は「にゃん太郎」の賢さ
    に舌を巻いたようでした。



家族となるまでの間 7


そうこうしているうちに、外はだいぶ寒くなってきました。そこで、玄関先
にダンボールを置き、中に毛布を入れてあげました。すると、察しが良い
「にゃん太郎」は、すぐにその中に入ってしまいました。
しかも、顔だけ出して。
    

      でも、季節は冬へと向かい、これからもっと寒い時期がやってきます。私達
    は、決断を迫られました。まだ、この年に生まれて、外で冬を越したことが
    ない、ネコです。冬を越せるかどうか…。主人と何度も話し合いをしま
    した。決して、飼うのが嫌という事ではありません。2人とも動物は大好き
    ですから…。焦点は、「責任を持って一生面倒を見てあげられるのだろうか」
    という事です。そして決めました。家族に迎えることを。


    にゃん太郎は、ずっとそれを待っていたのかもしれません。
    なぜなら、以前から私たちが家の中に入ろうと玄関を開けた時に、さも当た
    り前のような顔をして一緒に入ろうとしていた事が、何度もあったからです。
    きっと、最初から家族にしてもらおうと思っていたのでしょう。


こうして、にゃん太郎は家族の一員となりました。